下記のような行為が高齢者虐待に当たります。
ⅰ 身体的虐待
① 暴力的行為で、痛みを与えたり、身体にあざや外傷を与える行為。
【具体的な例】
・平手打ちをする。つねる。殴る。蹴る。やけど、打撲をさせる。
・刃物や器物で外傷を与える。 など
② 本人に向けられた危険な行為や身体に何らかの影響を与える行為。
【具体的な例】
・本人に向けて物を壊したり、投げつけたりする。
・本人に向けて刃物を近づけたり、振り回したりする。(※) など
③ 本人の利益にならない強制による行為によって痛みを与えたり、代替方法があるにもかかわらず高齢者を乱暴に取り扱う行為。
【具体的な例】
・医学的判断に基づかない痛みを伴うようなリハビリを強要する。
・移動させるときに無理に引きずる。無理やり食事を口に入れる。 など
④ 外部との接触を意図的、継続的に遮断する行為。
【具体的な例】
・身体を拘束し、自分で動くことを制限する(ベッドに縛り付ける。ベッドに柵を付ける。つなぎ服を着せる。意図的に薬を過剰に服用させて、動きを抑制する。など)。
・外から鍵をかけて閉じ込める。中から鍵をかけて長時間家の中に入れない。など
ⅱ 介護・世話の放棄・放任
① 意図的であるか、結果的であるかを問わず、介護や生活の世話を行っている者が、その提供を放棄又は放任し、高齢者の生活環境や、高齢者自身の身体・精神的状態を悪化させていること。
【具体的な例】
・入浴しておらず異臭がする、髪や爪が伸び放題だったり、皮膚や衣服、寝具が汚れている。
・水分や食事を十分に与えられていないことで、空腹状態が長時間にわたって続いたり、脱水症状や栄養失調の状態にある。
・室内にごみを放置する、冷暖房を使わせないなど、劣悪な住環境の中で生活させる。 など
② 専門的診断や治療、ケアが必要にもかかわらず、高齢者が必要とする医療・介護保険サービスなどを、周囲が納得できる理由なく制限したり使わせない、放置する。
【具体的な例】
・徘徊や病気の状態を放置する。
・虐待対応従事者が、医療機関への受診や専門的ケアが必要と説明しているにもかかわらず、無視する。
・本来は入院や治療が必要にもかかわらず、強引に病院や施設等から連れ帰る。 など
③ 同居人等による高齢者虐待と同様の行為を放置する。
・孫が高齢者に対して行う暴力や暴言行為を放置する。 など
ⅲ 心理的虐待
○ 脅しや侮辱などの言語や威圧的な態度、無視、嫌がらせ等によって、精神的苦痛を与えること。
【具体的な例】
・老化現象やそれに伴う言動などを嘲笑したり、それを人前で話すなどにより、高齢者に恥をかかせる(排泄の失敗、食べこぼしなど)。
・怒鳴る、ののしる、悪口を言う。
・侮蔑を込めて、子どものように扱う。
・排泄交換や片づけをしやすいという目的で、本人の尊厳を無視してトイレに行けるのにおむつをあてたり、食事の全介助をする。
・台所や洗濯機を使わせないなど、生活に必要な道具の使用を制限する。
・家族や親族、友人等との団らんから排除する。 など
ⅳ 性的虐待
○ 本人との間で合意が形成されていない、あらゆる形態の性的な行為又はその強要。
【具体的な例】
・排泄の失敗に対して懲罰的に下半身を裸にして放置する。
・排泄や着替えの介助がしやすいという目的で、下半身を裸にしたり、下着のままで放置する。
・人前で排泄行為をさせる、オムツ交換をする。
・性器を写真に撮る、スケッチをする。
・キス、性器への接触、セックスを強要する。
・わいせつな映像や写真を見せる。
・自慰行為を見せる。 など
ⅴ 経済的虐待
○ 本人の合意なしに財産や金銭を使用し、本人の希望する金銭の使用を理由なく制限すること。
【具体的な例】
・日常生活に必要な金銭を渡さない、使わせない。
・本人の自宅等を本人に無断で売却する。
・年金や預貯金を無断で使用する。
・入院や受診、介護保険サービスなどに必要な費用を支払わない。 など