正しい姿勢とは、安定した姿勢であることです。
例えば、自身の身長と明らかに不釣り合いな椅子は、座った時の安定性がありません。高齢の方は、潜在的に嚥下障害がある場合もあります。いつまでも元気でいるためにも、食事中の誤嚥を防ぐための安定した姿勢を知っておくことは重要なことです。
では、どのような状態で食事をすればよいでしょうか。
① 椅子に座って食事をする場合
・足の裏が床についている
・お尻から膝までが椅子の座面につき、深く腰掛ける
・上半身がまっすぐになっている
・少し下に俯(うつむ)いた姿勢がとれるテーブルの高さにする
飲み込む時、頭部が後ろにのけぞった姿勢になると、誤嚥のリスクが高まると言われます。そのため、しっかり座り、下に俯き、顎を引いた姿勢が良いです。
② 車いすで食事をする場合
・フットレスト(足置き)から足を下ろし、足の裏が床に付くようにする。付かない場合は、踏み台を置くなどの工夫をする
・上半身はまっすぐが良い。嚥下障害の状態によっては、リクライニングする必要がある
・下に俯(うつむ)いた姿勢を取れるよう、頭部の位置に気を付ける
基本的には、椅子で食事をする姿勢と同じです。身体をまっすぐにして、俯き加減で食べる事が重要です。しかし、高齢者の中には円背(えんぱい)といって、背中が丸くなっている方が居られます。円背になると、椅子に座った場合どうしても頭部がのけぞりがちになります。円背が余りに重度で、なおかつ嚥下障害が認められる方は、車いすの座り方を少し浅めにして、背中にクッションを挟むようにすると食べやすくなります。
③ ベッド上で食事をする場合
・座位が可能な場合は、ベッド上に座る
・嚥下障害が明らかにある場合は30度から70度までのリクライニングにする。なお、その場合でもしっかり頭の下に枕を入れ、頭部は顎を引いた姿勢になるようにする。ベッドの角度は、嚥下の状態に合わせて調整する
・身体が傾かないように、クッションなどで姿勢を保持する