一般的に加齢に伴って基礎代謝量は低下します。その主な理由として筋肉などの除脂肪量の低下があげられます。このことは活動時のエネルギー代謝量が低くなることにもつながります。また、活動量の低下などその他複数の要因が組み合わさり、総エネルギー消費量も加齢に伴い低下していきます。
食事摂取基準2015年度版の日本人の年代別基礎代謝基準値を見ても、性別を問わず加齢とともに基礎代謝量が低くなっています。例えば体重70kgの男性の場合、基礎代謝量の推定値は、20歳代で1680kcal、50歳代で1505kcalとなり、1日でおよそ175kcalの差になります。
安静時の代謝量は組織ごとで大きく異なります。臓器では代謝量が高く、脂肪組織では低くなっています。また骨格筋の代謝量は、臓器よりも低いですが脂肪組織よりも高くなっています。脂肪は加齢に伴って蓄積していく傾向にありますが、代謝率が低いので大幅な増加にはつながりません。加齢に伴う基礎代謝量の低下は、骨格筋量の減少が主な理由としてあげられます。ただし、それだけではすべての説明がつかず、各臓器における代謝率の低下がその他の要因として考えられています。
年齢別に見た1日のエネルギー消費量を見ると、20歳以降も加齢とともに減少しています。その要因として、基礎代謝量と同様に除脂肪量(骨格筋や臓器など)の減少や代謝率の低下があげられますが、身体活動量の減少もその一つとして考えられます。
身体活動を活発に行うことは、エネルギー消費を高く維持させることに加えて筋肉量の減少を遅らせることにもつながりますので、加齢に伴う総エネルギー消費量の低下を防止することにつながります。