セルフネグレクトとは、一般にはアメリカの全米高齢者虐待問題研究所が定めた定義に準じた「高齢者が通常一人の人として、生活において当然行うべき行為を行わない、あるいは行う能力がないことから、自己の心身の安全や健康が脅かされる状態に陥ること」という定義が使用される場合が多いです。
セルフネグレクトは6つの因子にまとめられます。外部からの支援を必要とするセルフネグレクトでは、これらの因子が複数あてはまる事が多いです。
➀不潔で悪臭のある身体…人並みな身繕いをしない、トイレに行く意思が希薄
②不衛生な住環境…ゴミを捨てない、ネズミや害虫を駆除しない
③生命を脅かす治療やケアの放置…内科疾患の治療や服薬を中断・拒否する
④奇異に見える生活状況…破れた服を着て外出するなど、周囲の価値観から見て奇異に見える状態
⑤不適当な金銭・財産管理…日常的な買い物や、公共料金・家賃の決済など、自分の財産管理が適切にできない状態
⑥地域の中での孤立…近隣住民との関わりを拒否する、家に引きこもるなどの社会的孤立
なお、精神的に健全で、自らの自己決定でセルフネグレクトと同じ状況に意図的に身を置く者については、基本的にセルフネグレクトの範疇からは除外されます。
セルフネグレクトに陥りやすい危険因子として、精神障害やパーソナリティ障害といった心理的な問題、ライフイベントや天災などによる人的物的な喪失、複雑化した福祉サービスや、他人の世話になることへの忌避感、身体の障害や経済的困難、人間関係の忌避などがあげられます。
セルフネグレクトは、脳傷害、認知症、精神疾患の結果としても起こり得ます。また、このような意欲の欠如は精神科の薬の副作用としても起こり得ます。