私たちは、買い物など、お互いの意思表示が合致すれば、契約は成立します。いったん成立した契約はお互いに守らなければならず、一方的に解除できません。これが契約の原則です。しかし、事業者が突然訪問してきたり、電話をかけてきたりして不意打ち的に勧誘され、よく考える時間もなく契約させられたような場合まで、「いったん契約したら守らなければならない」という原則のままでは、消費者は非常に不利な立場になります。
このため、訪問販売や電話勧誘販売などの不意打ち性の高い取引やマルチ商法、内職商法などの複雑な取引については、申込みや契約をした後一定期間消費者が頭を冷やして考え直し、無条件で一方的に契約を解除することができる制度があります。これをクーリング・オフ制度と言います。契約の原則の例外ですから、すべての取引にこの制度があるわけではなく、法律や約款などに定めがある場合に限られます。自分から店に出向く店舗での購入やカタログやネット画面を見て申込む通信販売は、じっくり考えてから契約を決めることができますので、クーリング・オフの対象外です。
特定商取引法のクーリング・オフ
特定商取引では、訪問販売(キャッチセールス・アポイントメントセールス・催眠商法など含む。)、電話勧誘販売、連鎖販売取引(マルチ商法)、業務提供誘引販売取引(内職商法)、特定継続的役務提供(エステティックサロン、一定の美容医療、語学教室、家庭教師、学習塾、パソコン教室、結婚相手紹介サービス)の取引や訪問購入(一部の物品を除く)の場合、一定期間内ならば理由を問わずクーリング・オフができます。通信販売にはクーリング・オフ制度はないので注意しましょう。
訪問販売や電話勧誘販売での契約でも、次のような場合はクーリング・オフができません。
・クーリング・オフ期間が過ぎた場合(契約書面の不備、販売業者によるクーリング・オフ妨害があった場合などは8日間を過ぎてもクーリング・オフが可能です)
・営業や仕事用のために契約した場合
・代金が3,000円未満の現金取引き
化・粧品や健康食品などの指定消耗品を使用した場合の使用済み分(販売事業者に使用させられた場合はクーリング・オフできます)
・その他、葬儀、乗用自動車など適用除外にあたる商品やサービス