睡眠に関係しているいろいろな病気をまとめて睡眠障害と呼びます。ここでは生活習慣病としての側面が強い睡眠障害として、不眠症を取り上げます。不眠症は、眠れないことによって昼間の生活に支障が生じてしまう病気です。高齢になると多くなります。その理由は、歳とともに、目覚めている状態と寝ている状態のメリハリが少なくなることと、加齢によって睡眠の時間帯が早くなることです。そのため、睡眠中に何度も目が覚めたり、まだ朝の暗いうちに目が覚めてしまったりする一方で、昼間にうとうとすることが多くなります。
睡眠障害の予防と治療
「眠れない」というとき、その対策として、まず、はじめに睡眠環境をチェックしてみましょう。室内の照明や枕の高さを変えてみたり、就寝の4時間前からはお茶やコーヒーなどは飲まないようにしてみたりしましょう。また、少しでも長く寝ようとして早く床に着くのは逆効果です。むしろ、眠れない時には「眠らなければ」と必死になるより、「眠くなったら寝ればよい」ぐらいに考えた方が、逆に寝付きやすい傾向があります。そして、朝は早起きして日光を浴びることです。それにより体内時計が正確に時を刻み、快眠につながります。
このような工夫をしても眠れないときには医療機関を受診しましょう。最近は依存性がほとんどなく安全性の高い睡眠導入剤があります。寝酒としてアルコールを飲むことのほうが、薬よりも依存性を生じやすく、また、夜間頻尿につながり余計に睡眠が妨げられるというマイナスの影響もあります。