認知症による徘徊とは、見当識障害や記憶障害などの中核症状出現の影響や、ストレスや不安などが重なって、絶えず歩き回ってしまうことがあります。
本人にとっては、目的のある行動です。家の中や外を絶えず歩き回るなど、客観的には目的不明に見えます。しかし、本人にとっては、はっきりとした目的がある場合が多いです。一見、目的不明でも、本人にとっては切実な行動である場合が多いことを理解しましょう。
行方不明や事故などの可能性も外に出ての徘徊は、事故や行方不明という事態になる可能性も出てきます。また、地域住民や警察に保護されたとしても、認知症が進んでいた場合、自分の名前や住所などが的確に答えられないことも多いため、どこの誰なのかを突き止めるのが難しくなってしまいます。
認知症により、周りを気にかけたり、注意することが難しくなり、車が来ていても道路の真ん中を歩いたり、電車が来ているのに線路内に入ることもあり、事故に遭う危険性があります。夏場は、脱水症状を起こす危険もあります。
徘徊は介護者にとって対応が難しい症状ですが、本人にとっても、時には命に関わる可能性のあります。
徘徊が起こる原因
認知症の中核症状に加え、不安やストレスなどが発端となり、徘徊が出ると考えられています。
記憶障害で、直近のことを覚えられなくなるため、最初は目的を持って出かけても、何をしに来たのかを思い出せず、徘徊に繋がることがあります。また、見当識障害で、自分が今いる場所がわからなくなり、不安からあちこち歩き回る行動に出ることもあります。判断力の低下により、道に迷っても人に聞く、電車に乗るなどの判断が難しくなります。
認知症の中でも、前頭側頭型認知症では、同じ行動を繰り返す症状が特徴として挙げられます。外の毎日決まったコースを必ず1周するなど、同じパターンを繰り返す症状です。他の認知症による徘徊と異なり、何かを探して歩き回っているわけではないため、迷子にはなりにくいと言われています。ただし、注意ができないという点は同じなので、事故に遭う危険性は高いです。
徘徊が起こったら
理由を聞いてみましょう。何か探していたり、本人が不安に思っていることがあって恐怖を感じていたりすることがあります。
また、徘徊を無理やり止めたり、責めるような口調で注意したりせず、落ち着くまで一緒に歩いたり、気持ちをそらす努力も大切です。徐々に気持ちが落ち着いてくると、自分から部屋や家に戻る場合もあります。
外に出て行方不明になっている場合は、速やかに警察に連絡しましょう。事故に遭う危険性もあるため、家族だけで探そうとせず、躊躇せず通報してください。
徘徊への対策は次回。